これからの commmons のこと

commmons は2006年に「音楽の共有地」を標榜し坂本龍一がエイベックスの力を借りて、主に日本向けに立ち上げたレーベルです。自身が自由に音楽作品を制作する足場として、また音楽を作る個人が作品を発表したり販売するためのツールとなったり、リソースを提供することを目的としていました。その目的が満足のいく形で達成することはありませんでしたが、それでも坂本龍一の日本のホームとして一定の認知を得たのではと思います。

さて、これからです。

坂本龍一が今生を離れたいま、わたしたちには何ができるのか。

坂本龍一が残した作品を守り、残し、伝えていくこと。

坂本龍一のことばから音楽への想いを学び、新たな音楽が生まれるチャンスを作ること。

そんなことを考えて、気持ち新たに坂本龍一と歩もうと思います。
その意思を表明すべく新しいロゴを作りました。

「共有地(commmons)の中には“m(music)”がある。」

私たちのこれからを見守っていただければ幸いです。

commmons について

commmons(コモンズ)」とは、坂本龍一をはじめとするアーティストたちが音楽の新たな可能性を模索すべく、エイベックスグループとともに設立した新プロジェクトです。

think global, act local」を合い言葉に、エコロジカルな視点を持ち、社会・文化貢献を目指す新しい音楽コミュニティーとして、アーティスト/クリエイター、音楽産業、ユーザー/リスナーのよりよい関係を作るための「共有地(commons)」となることを目的としています。共有地(commons)の中心に音楽(music)が存在し続けることを願って、3つの「m」の「commmons」と名付けました。

“Good business is the best art.” - Andy Warhol

commmons 立ち上げにあたって、ぼくの思うcommmons の基本的な設立理念をお伝えします。

まず第一に、commmonsは旧来のメジャーレーベルとインディーレーベル、双方がもっていた弊害を克服して、ビジネス一辺倒、あるいはアート一辺倒にもならず、ビジネス50、音楽(アート)50という理想のバランスをもって運営していける組織を目指します。

これが、最初にあげたアンディ・ウォーホルの「good business」という意味ではないでしょうか。

われわれにとっての good business を、みなさんと模索していけたら願ってもない幸せです。この幸せはぼくたちだけのものではなく、ぼくたちに続く次世代への恩恵にもなると信じます。

世の中には雨後のタケノコのようにたくさんのマイナーレーベル、インディーレーベルがあり、その中には優れた才能をもつアーティストもたくさんいます。しかし、なかなか横のネットワークが作れずに、それぞれの場所で、法務的、財務的な苦労を重ねているのが現状です。そして、その多くはアーティスト自身の努力で行われています。これは、才能の無駄使いです。そのようなアーティスト達に、文字通りコモンズ(共有地)を提供し、財務、法務、宣伝、営業などを必要に応じてアウトソーシングしてもらえるインフラを作ることができれば、真に次世代の才能を生かすことになるのではないでしょうか。

commmonsというレーベルのカラーとは?

カラーは、ひとえに集まってくるアーティストの作品が自ずと作りあげていきます。先入観から特定のカラーにあてはめて、アーティストを募るのではなく、幅広い才能が結集し、彼らの活動をサポートできるように務めることから、自然にcommmonsのカラーは生まれるのだと信じます。

2006年11月6日 坂本龍一