ASA- CHANG&巡礼
影の無いヒト
僕の周りにはフランス通の日本人やフランス人の友人が多いが、その中でもこれまでにニームを訪れたことがあったのはただ一人。それはなんとASA-CHANG。
ASA-CHANGは91年に東京スカパラダイスオーケストラのリーダーとして、フランス・ツアーを行い、ニームの名跡ローマ円形劇場でライヴを行っていたのだ。そして今回は18年ぶりのニーム凱旋である。人に歴史あり!
ニームに着いた翌朝、時差ぼけで妙にハイになったまま迷路のような旧市街を歩き、その先にそびえ立つ円形劇場に入る。2000年近くも昔に築かれた巨大な石の建造物だ。石の階段を最上段まで登り、アリーナを見下ろすと、胸に吊した大太鼓を叩いて行進する18年前のASA-CHANGと客席を埋める古代ローマの群衆の幻影が僕の脳裏をよぎる。
旧市街を彷徨っていると、足は自然と町一番の市場の入った建物に向かっていた。南仏名物のオリーブや干しダラ、野菜や地中海の魚介などがファンシーな色合いで並んでいる。どれも美味そう!
同じ建物の二階には全国チェーンのCDショップFNACがあった。おお、ここが今日、巡礼がインストア・ライブを行う場所か! 入り口には LEX(L'Experience Japonaise)のフライヤーが置かれ、本日の催し物として巡礼のポスターが飾られていた。CD売り場の一角にあるイベントスペースには既にスタッフが入り、準備を始めている。
開演の午後5時半に近づくにつれ、会場に人が集まってくる。胡座をかいて演奏する巡礼に合わせて、観客もカーペットの上にアジア的体育座りだ。そんな親密な雰囲気の会場には幼児を抱いた若い母親、イギリスから来たという日本人男性、LEXのスタッフ達も集まってきた。
オープニングの「ドローン」に続いていきなり「花」、初っぱなからU-zhaanは容赦なくタブラを叩く。この曲は英仏のDJ達によって紹介され、ヨーロッパで最も知られる巡礼の曲となっているが、生演奏がまさかここまで激しいとはフランスの日本音楽通達も想像しなかっただろう。
続く「PREACH」、「2月」、「つぎねぷと言ってみた」では、ギター、トランペット、リコーダー、カンジーラと次々と楽器を持ち替えて代表曲を演奏する二人。インストアでは勿体ないほどの大盤振る舞い。そして、最終曲「Jippun」ではASA-CHANGもU-zhaanに負けじとタブラボンゴを叩く。最終パートでの存在感のある彼のプレイには何となくリーダーとしての威厳が感じられたのだった。
終了後、観客からはスタッフの元に次々と質問が寄せられる。明日は何時から? チケットはいくら? 私の作ったビデオを見てくれない? 日本にはこんなバンドが幾つもあるの? リアクションはなかなかイイぞ。明日の本番に向けスタッフ側の気分も高まってきた。よ~し、夕飯はフォアグラでも行っときますか! そんな中、U-zhaanは人知れず危機に陥っていた。
text & photo/サラーム海上
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約4年ぶり、commmons移籍第一作目となるアルバムは、結成10周年を迎えた彼らのラジカルなサウンドが大胆に放たれた一枚!
坂本龍一、宮藤官九郎、モデルの太田莉菜、キセル、Talvin Singhら、ASA-CHANG&巡礼と深い各界のアーティストが参加し、色彩豊かな作品となっている。
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ASA-CHANG&巡礼
打楽器奏者ASA-CHANG、プログラム担当の浦山秀彦、タブラのU-zhaanで構成。
「声もひとつの楽器」をコンセプトに、言葉を分子レベルまで刻み込み、タブラと語りかける"発明的"な楽曲が特徴的で、聴く者を不思議な空気で包み込む。
過去に小泉今日子やハナレグミを作品に迎えた他、近年ではフランスでライブを行ったり、自主イベント「JUNRAY DANCE CHANG」を成功させるなど、精力的な活動を行っている。