私が好きな坂本龍一10選
第5回
高橋幸宏
音楽家

教授、「日本の宝」とか言われるようになってどのくらい経つかな……?
こんな風に言われて、ちょっと嫌な気持ちになることもあるかも、だね。
けれど、本当にそうなんだと僕も思うよ。仕方がない。諦めて……。

1
TIBETAN DANCE
なんといっても僕のドラムがいい(笑)!
……いや、すみません。でも、自分自身でも好きなドラムなんです。デジタルのテレコが導入されて間もない頃のレコーディング。何ヵ所も部分的に録り直しましたが、それもデジタルだからできたところもあり、新しい方法や発見もあったレコーディングでした。YMOの2008年のEUツアーでも僕のリクエストでセットリストに加えてもらいました。思い入れのある曲です。
MDCL-1243
音楽図鑑
坂本龍一
1. TIBETAN DANCE
2. ETUDE
3. PARADISE LOST
4. SELF PORTRAIT
5. 旅の極北
6. M.A.Y. IN THE BACKYARD
7. 羽の林で
8. 森の人
9. A TRIBUTE TO N.J.P.
10. REPLICA
11. マ・メール・ロワ
12. きみについて
13. TIBETAN DANCE (VERSION)
楽曲解説
1984年のアルバム『音楽図鑑』の冒頭を飾った1曲。ベースは細野晴臣、ドラムは高橋幸宏で、坂本龍一のソロ・コンサートのみならず、コメントにあるように2008年のロンドン公演以降からYMOのライヴ・レパートリーにもなった(当時は中国におけるチベットの問題が世界で注目されるようになっていた)。現在までのところ最後に演奏されたのは2013年12月21日に六本木EXシアターで行われた細野晴臣+坂本龍一の高橋幸宏をゲストとして迎えたスペシャル・コンサート。当日のこの曲の演奏はYMOの3人とU-zhaan、小山田圭吾によって行われた。この公演は『HARUOMI HOSONO × RYUICHI SAKAMOTO at EX THEATER ROPPONGI 2013.12.21』のタイトルでDVD化されている。
2
SELF PORTRAIT
冒頭、遠くの方に小さな明かりが灯り、それが一筋の光となる。その光というのは、つまり、希望。そんなイメージ。同じフレーズを繰り返しながら、リズムが加わり、次第に広がりを見せていく。それはまるで走馬灯のようでもあり。まさに教授ならでは。お手本のような曲です。そしてこのアタマのシンセの音色もまた、教授でなければ作れないものです。
MDCL-1243
音楽図鑑
坂本龍一
1. TIBETAN DANCE
2. ETUDE
3. PARADISE LOST
4. SELF PORTRAIT
5. 旅の極北
6. M.A.Y. IN THE BACKYARD
7. 羽の林で
8. 森の人
9. A TRIBUTE TO N.J.P.
10. REPLICA
11. マ・メール・ロワ
12. きみについて
13. TIBETAN DANCE (VERSION)
楽曲解説
1984年のアルバム『音楽図鑑』の収録曲。ドラムは高橋幸宏。同アルバムの2015 Editionのボーナス・ディスクには吉田美奈子のスキャットが入った別ヴァーションも収録されている。1996年にはピアノ・トリオ編成で再レコーディングされ、EP『08/21/1996』に収録されている。ライヴ・ヴァージョンは『Media Bahn Live』(1986)、『PLAYING THE PIANO 2009 JAPAN SELF SELECTED』(2009)などで聴くことができる。また、坂本龍一のソロ・コンサートのみならず坂本龍一が音楽監督を務める東北ユースオーケストラでも演奏されている。
3
Perspective
決して奇をてらったものではないのに、彼独特の和音の積み上げが他にない世界観を生み出しています。そこに乗る教授の歌。味のあるこの歌が、実に合ってますね。
MHCL-10119
SERVICE
YELLOW MAGIC ORCHESTRA
1. Limbo
2. S.E.T.
3. The Madmen
4. S.E.T.
5. Chinese Whispers
6. S.E.T.
7. You've Got To Help Youeself
8. S.E.T. +YMO
9. Shadows on the Ground
10. S.E.T.
11. See-Through
12. S.E.T.
13. Perspective
14. S.E.T.
楽曲解説
1983年にリリースされたイエロー・マジック・オーケストラ(YMO)のアルバム『SERVICE』に収録。印象的な美しいピアノに乗せて日常の風景を淡々と歌うヴォーカル曲。YMOでの発表に先駆けて、1983年秋のピアノ・ソロ・コンサートで初披露された。YMOのほかソロ・コンサートでも度々演奏され、最新のライヴ・アルバム『Playing the Piano 12122020』でもインストゥルメンタル・ヴァージョンを聴くことができる。
4
Riot in Lagos
イントロからして衝撃的。やっぱりこの音色です。そしてビート。当時、細野さんも「このイントロはワクワクするね」と言ってました。2008年のEUツアーでもやりましたけど、2011年のアメリカ公演の時に教授から「ドラムは生でやろう」と提案されまして、「事前にリハーサルしないと無理だよ」と断ったのですが、「大丈夫だよ。幸宏なら」と押し切られて。まあ、LAのライブ前にリハができることにはなったんですけど、(共演した)オノヨーコさんに大半の時間をとられて……(笑)。
MHCL-10122
B-2 UNIT
坂本龍一
1. differencia
2. thatness and thereness
3. participation mystique
4. E-3A
5. iconic storage
6. Riot in Lagos
7. not the 6 o'clock news
8. the end of europe
楽曲解説
1980年のアルバム『B2-UNIT』収録曲。アルバムを代表するエレクトロニック・ダブ作品で、イギリス、ドイツではシングル・カットもされて坂本龍一の海外におけるデビュー・シングルともなった。またアルバム発表年に行われたイエロー・マジック・オーケストラ(YMO)の大規模なワールド・ツアーでもコンサートの冒頭曲になっている。2000年代に入ると、YMOの3人が集結したHuman Audio Sponge、HASYMOなどのユニット、さらにはYMO名義でのコンサートでもレパートリーとなった。YMOとしての演奏は『LONDON YMO』『Gijon YMO』(ともに2008)などに収録されているほか、ドラムが生で叩かれた2011年のアメリカ公演の模様はDVD、ブルーレイ・ディスクの『Yellow Magic Orchestra Live in San Francisco』(2011)で鑑賞することができる。
5
THOUSAND KNIVES
シンセサイザーとコンピュータによって作られているというこの感じが心地いいですね。音色のことばかりになってしまいますが、オリジナルの音を作らせたら、教授は神様ですね。そのことをあらためて認識させられる曲。シンセは彼にかかれば無限。こんなに向いている人はいないと思います。
COGQ-87
千のナイフ
坂本龍一
1. THOUSAND KNIVES
2. ISLAND OF WOODS
3. GRASSHOPPERS
4. DAS NEUE JAPANISCHE ELEKTRONISCHE VOLKSLIED
5. PLASTIC BAMBOO
6. THE END OF ASIA
楽曲解説
1978年に発表されたソロ・デビュー・アルバム『千のナイフ(THOUSAND KNIVES OF)』のタイトル曲。1981年にはイエロー・マジック・オーケストラ(YMO)のアルバム『BGM』でリメイクされる。2005年には過去の作品をあらためてピアノで演奏したアルバム『/05』にも選曲された。発表時からソロ・コンサート、あるいはYMOのコンサートでも頻繁に演奏れており、複数のライヴ・アルバムにさまざまなアレンジで収録されている。近年のものでは『PLAYING THE PIANO 2009 JAPAN SELF SELECTED』(2009)などで聴くことができる。
6
thatness and thereness
教授の作品から、ヨーロッパ的ロマンティシズムというものを初めて感じた曲かもしれません。いや、それまでにもその後もそういったところは断片的には見え隠れするものの、ここまではっきりと情景を映し出したものはないんじゃないかな。彼の歌もいいですね。誰か人のために書いていたら、こういう曲にならなかったかも、なんてことを思います。後に僕もカヴァーしています。
MHCL-10122
B-2 UNIT
坂本龍一
1. differencia
2. thatness and thereness
3. participation mystique
4. E-3A
5. iconic storage
6. riot in Lagos
7. not the 6 o'clock news
8. the end of europe
楽曲解説
1980年のアルバム『B-2 UNIT』に収録されたヴォーカル曲。クルト・ワイルの影響を受けている。タイトルは“そこにあるもの、あるべきもの”という意味を込めた造語で歌詞は後藤美孝と坂本龍一の共作。ピーター・バラカンが英訳を担当した。1980年代から2000年代までソロ・コンサートで披露される代表曲のひとつとなった。
7
東風
代表曲と言っていいでしょう。テクノの文脈で語られるのは当然としても、これはポップスとクラシックの融合が見事に叶った曲ということもできるんじゃないかな。そしてこういう曲はまた演奏者の技量も問われるもので。YMOというバンドとそのメンバーがあったからこそ成立した曲とも言えるのです。と、自画自賛。
MHCL-10107
YELLOW MAGIC ORCHESTRA
YELLOW MAGIC ORCHESTRA
1. コンピューター・ゲーム “サーカスのテーマ”
2. ファイアークラッカー
3. シムーン
4. コズミック・サーフィン
5. コンピューター・ゲーム“インベーダーのテーマ”
6. 東風
7. 中国女
8. ブリッジ・オーバー・トラブルド・ミュージック
9. マッド・ピエロ
10. アクロバット
楽曲解説
1978年にリリースされたイエロー・マジック・オーケストラ(YMO)のファースト・アルバム『イエロー・マジック・オーケストラ』に収録。YMOの代表曲のひとつになり、ほとんどのコンサート、ツアーで演奏されることになった。坂本龍一自身もソロ・コンサートでたびたび演奏している。また、何度かセルフ・カヴァーもしており、『BTTB -20th Anniversary Edition-』(2019)などに収録されているほか、2021年にはファッション・デザイナー、ジュンヤ ワタナベの2022年春夏コレクションのショーのために依頼され新たなヴァージョンを制作し「Tong Poo for JUNYA WATANABE」としてダウンロード、ストリーミングで発表したほか、2022年にアナログ12インチ・シングルとしても発売。
8
Merry Christmas Mr. Lawrence
坂本龍一という人のロマンティシズムが横溢する曲。その奥深さに圧倒されそうになります。ここから多くの人が様々な刺激を受け、触発されたことでしょう。デヴィッド・シルビアンが後にこの曲に歌詞をつけて「Forbidden Colours」としてリリースしていますけど、気持ちはよくわかる(笑)。この音楽とこの映画に触れて、何か自分も表現したいという衝動に駆られたんだと思います。きっと。
MDCL-1241
Merry Christmas Mr. Lawrence
坂本龍一
1. Merry Christmas Mr. Lawrence
2. Batavia
3. Germination
4. A Hearty Breakfast
5. Before the War
6. The Seed And The Sower
7. A Brief Encounter
8. Ride Ride Ride (Celliers' Brother's Song)
9. The Fight
10. Father Christmas
11. Dismissed!
12. Assembly
13. Beyond Reason
14. Sowing The Seed
15. 23rd Psalm
16. Last Regrets
17. Ride Ride Ride (reprise)
18. The Seed
19. Forbidden Colours
楽曲解説
『戦場のメリークリスマス』は1983年に公開された大島渚監督の映画。坂本龍一にとっては初の映画音楽の仕事になった。この映画音楽では英国アカデミー音楽賞を受賞するなど内外で高い評価を得た。なかでもテーマ曲はいまに至るも坂本龍一のトレードマークのような代表曲になり、自身のセルフ・カヴァーも含めて多くのアーティストによって世界中で演奏されている。サウンドトラック・アルバムにはデヴィッド・シルヴィアンが歌うヴォーカル・ヴァージョン「禁じられた色彩(Forbidden Colours)」も収録され、これはシングル・ヒットにもなってデヴィッド・シルヴィアンの代表曲のひとつになった。
9
Flashback
若い人は知らないことでしょうが、この曲の元になったのは教授が作ったラーメンのCM曲。これを聴いてすぐに教授に「この曲、ちょうだい」とお願いをしたのでした。メロディ、音色、コードはまさに「中華」!
そして、彼にしか作り出せない音です。でも、それとはまったく関連のない歌詞を乗せて、幸宏ワールドの曲に仕上げました。
MHCL-514
WHAT ME WORRY?
高橋幸宏
1. What, Me Worry?
2. It's Gonna Work Out
3. Sayonara
4. This Strange Obsession
5. Flashback
6. The Real You
7. Disposable Love
8. My Highland Home In Thailand
9. All You've Got To Do
10. It's All Too Much
11. Futari No Kage Ni
12. Disposable Love (Japanese Version)
13. Ich Bin Der Gluckichste Mensch Auf Der Welt
楽曲解説
1982年の高橋幸宏のソロ・アルバム『WHAT ME WORRY?』の収録曲。もともとは「中華三昧」というインスタント・ラーメンのコマーシャルのために坂本龍一が作った短い曲だったが、それを気に入った高橋幸宏が歌詞をつけて自身のアルバムに収録した。このヴァージョンでは細野晴臣がベース、坂本龍一がキーボードを弾いている。1984年の『音楽図鑑』のレコーディング・セッションでは同曲を坂本龍一自身の楽曲として再レコーディングが行われたが、未発表となった。
10
新曲
坂本くんの作品が世に出ると聞くたびに、いつもとても楽しみです。次にどんな曲を聴かせてくれるのか、大きな期待をもって待っています。あ、もしできることなら僕と一緒にふたりで作れたら、なんてのもいいね!
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