私が好きな坂本龍一10選
第12回
UA
歌手
もしも龍が現れるなら、白い龍に逢いたい。
熱くて冷たい、聖愛にして性的な白、切り開き、放ち、与える白。
きっと透明ではつまらない。

坂本さん!
70歳のお誕生日おめでとうございます。
底なしのロマンティックを現実にしてきた坂本さんの次に見る夢を、全身全霊で楽しみにしています。
1
solari
何度でも出会いなおす自分。
記憶にまとう衣服のようなその感情を、忘れてしまいたいのか覚えていたいのか。

2017年の春、ワタリウム美術館にて、坂本さんの設置音楽展を体験しました。
アートの力に細胞が大活性化、永遠と瞬間が結婚しているようでした。
RZCM-86314(CD)
RZJM-86312(2LP)
async
坂本龍一
1. andata
2. disintegration
3. solari
4. ZURE
5. walker
6. stakra
7. ubi
8. fullmoon
9. async
10. tri
11. Life, Life
12. honj
13. ff
14. garden
楽曲解説
2017年に発表されたアルバム『async』の収録曲。同年にワタリウム美術館で開催された『設置音楽展』では高谷史郎による映像とコラボレーションした5.1chサラウンドのヴァージョンが公開され、2018年に発売されたブルーレイ作品『async surround』に収録されている。また、リミックス・アルバム『ASYNC - REMODELS』にはクリスチャン・フェネス、ヨハン・ヨハンソンが手がけた2つのリミックス・ヴァージョンが入っている。
2
体操
ブルマ、トレパン、トレシャツ and 痙攣。
昭和を生きた小中学生の幼気な記憶と心を、これほど癒す音楽があるでしょうか!
MHCL-10113
TECHNODELIC
YELLOW MAGIC ORCHESTRA
1. ジャム
2. 新舞踊
3. 階段
4. 京城音楽
5. 灯
6. 体操
7. 灰色の段階
8. 手掛かり
9. 前奏
10. 後奏
楽曲解説
1981年発売のイエロー・マジック・オーケストラ(YMO)のアルバム『TECHNODELIC』に収録。現代音楽の要素を取り入れた作品で、日本、オーストラリアではシングル・カットも行われた。如月小春が振り付けを行った体操をYMOのメンバーが行うプロモーション・ヴィデオも製作。1980年代のほか、2010〜2011年のYMOのコンサートで演奏された。
3
M.A.Y. in the Backyard
羽虫のささやき
猫の恋愛
樹々のゼスチャー
猛禽類の視点
裏庭は無意識のトルネード

もしも私がダンサーだったなら、この曲にチャレンジしたいのです。
FLCG-3130
1996
坂本龍一
1. ゴリラがバナナをくれる日
2. Rain
3. 美貌の青空
4. The Last Emperor
5. 1919
6. Merry Christmas Mr. Lawrence
7. M.A.Y. in the Backyard
8. The Sheltering Sky
9. A Tribute to N.J.P.
10. High Heels (Main Theme)
11. 青猫のトルソ
12. The Wuthering Heights
13. Parolibre
14. Acceptance (End Credit) -Little Buddha-
15. Before Long
16. Bring them home
楽曲解説
1984年のアルバム『音楽図鑑』の収録曲。当時坂本家の庭にやってきていた三匹の野良猫モドキ、アシュラ、ヤナヤツの頭文字を取って曲名とした。1984年に神奈川芸術祭『日本の現代作曲家シリーズ 坂本龍一の世界』で初演されたほか、多くのコンサートで演奏されている。1996年にはアルバム『1996』でピアノ、ヴァイオリン、チェロのピアノ・トリオ形式で再レコーディングされた。
4
Behind the Mask
カナダの島の北の端に暮らし始めた頃、いつの間にか子供達は、この曲を目覚ましに設定していました。現在6歳の息子が、プレイリストからこの曲が流れるたび、満面の笑みで「懐かしいねえ〜」と、必ず駆け寄って来ます。そして小さな心のひだにたわむサウダージを遊泳するように、しばらく静かにしています。
私が小学生の頃から聴いてる音楽を懐かしむ6歳児との時間。こんな歓びに感謝します。
MHCL-205
SOLID STATE SURVIVOR
YELLOW MAGIC ORCHESTRA
1. テクノポリス
2. アブソリュート・エゴ・ダンス
3. 雷電
4. キャスタリア
5. ビハインド・ザ・マスク
6. デイ・トリッパー
7. インソムニア
8. ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー
楽曲解説
イエロー・マジック・オーケストラのセカンド・アルバム『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー』(1979)に収録。もともとは時計会社のCMのために書かれたインスト曲だったが、詩人のクリス・モズデルの同名の詩を歌詞として坂本龍一がヴォコーダーで歌う楽曲となった。1982年にマイケル・ジャクソンが自ら補作詞をしてカヴァーを試みるが権利問題で頓挫。その詞を使用したヴァージョンはエリック・クラプトンなどがレコーディングし、坂本龍一自身もシングル『BEHIND THE MASK』(1987)として発表。マイケル・ジャクソンの死後、マイケル版の同曲がアルバム『Michael』(2010)に収録。プロモーション・ヴィデオも制作された。YMO、坂本龍一のコンサートでもたびたび演奏され、多くのライヴ・アルバムで聴くことができる。
5
THOUSAND KNIVES
白が切られる。
可能性とは何かを提示しているように感じます。

昔中国では、虹は龍の仲間で、龍は虫の一種とされたと聞きました。だから虹の文字には虫がいるのだそうです。

白が切られ、虹色が狂喜乱舞するギターソロ。
COGQ-87
千のナイフ
坂本龍一
1. THOUSAND KNIVES
2. ISLAND OF WOODS
3. GRASSHOPPERS
4. DAS NEUE JAPANISCHE ELEKTRONISCHE VOLKSLIED
5. PLASTIC BAMBOO
6. THE END OF ASIA
楽曲解説
1978年に発表されたソロ・デビュー・アルバム『千のナイフ(THOUSAND KNIVES OF)』のタイトル曲。1981年にはイエロー・マジック・オーケストラ(YMO)のアルバム『BGM』でリメイクされる。2005年には過去の作品をあらためてピアノで演奏したアルバム『/05』にも選曲された。発表時からソロ・コンサート、あるいはYMOのコンサートでも頻繁に演奏されており、複数のライヴ・アルバムにさまざまなアレンジで収録されている。近年のものでは『PLAYING THE PIANO 2009 JAPAN SELF SELECTED』(2009)などで聴くことができる。
6
Technopolis
歌謡曲もアイドルもバンドブームもYMOも、レコードプレイヤーで夢中になって聴いていた中学時代。今もなお夢中になれるのはYMOだけ。「血肉となっている」と言う言葉がこんなに腑に落ちることもないわけです。
MHCL-205
SOLID STATE SURVIVOR
YELLOW MAGIC ORCHESTRA
1. テクノポリス
2. アブソリュート・エゴ・ダンス
3. 雷電
4. キャスタリア
5. ビハインド・ザ・マスク
6. デイ・トリッパー
7. インソムニア
8. ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー
楽曲解説
1979年に発表されたイエロー・マジック・オーケストラ(YMO)のセカンド・アルバム『SOLID STATE SURVIVOR』の冒頭の1曲。YMOの初のシングル曲となり、テレビ・コマーシャルに使われたこともあって大ヒットした。曲中で使用された「TOKIO」というヴォコーダーのヴォイスはYMOのサウンド・アイコンにもなった。
7
The Sheltering Sky
高校時代、TV放送されたこの映画をVHSに録画しました。それから長くサハラに焦がれ、30代に船でタンジールからモロッコに入り砂漠を旅しました。正直、この映画ほど美しくも、怖くもありませんでした。ベルベルのテントでは寝つけず、砂漠の夜空の下で眠った晩は満月で、あと何度満月を眺めることができるのか、とポール・ボウルズの名言を、つぶやいたりしたのです。

孤独についての凄まじい映画ですが、この曲の旋律はまるで、乾いた砂に吹く一雫の風。エキセントリックで不条理な人間を洗い慰め、赦しているかのようです。
だからこの映画が名作となっているのだと思います。
RZCM-86314(CD)
RZJM-86312(2LP)
Playing the Piano 12122020
坂本龍一
1. Andata
2. Bibo no Aozora
3. Aqua
4. Aubade 2020
5. Aoneko no Torso
6. Mizu no Naka no Bagatelle
7. Before Long
8. Perspective
9. Energy Flow
10. The Sheltering Sky
11. The Last Emperor
12.The Seed And The Sower
13. Merry Christmas Mr. Lawrence
14. MUJI2020
15. Improvisation - 20201212
楽曲解説
『シェルタリング・スカイ』は1990年に公開されたベルナルド・ベルトルッチ監督の映画作品で、そのタイトル曲。本曲を含む坂本龍一による音楽は第48回ゴールデン・グローブ賞、第16回ロスアンジェルス映画批評家協会賞の音楽賞を受賞している(オリジナル・サウンドトラック・アルバムは現在廃盤だが、テーマ曲は2002年のコンピレーション・アルバム『UF』に収録)。坂本龍一の代表曲のひとつとして多くのコンサートで演奏されたほか、さまざまな編成で再レコーディングもされている。2005年にはピアノ・ソロによる自作のカバー・アルバム『/05』でも取り上げられた。『/05』は日本のみのリリースだったが、同趣旨のピアノ・ソロ・アルバム『/04』(2004)の音源からセレクトした曲で構成されたアルバム『playing the piano』(Decca)が日本以外の国で2009年に発売され、「The Sheltering Sky」も収録されている。
8
弥勒世果報(みるくゆがふ) - undercooled
思えばずっと、祈りを音にすることを坂本さんから教えてもらってきたんだと思います。
曲中、幼い子供達と詩を読ませていただいたことは人生の宝物です。
RZCM-59982
弥勒世果報(みるくゆがふ) - undercooled
うないぐみ+坂本龍一
1. 弥勒世果報(みるくゆがふ) - undercooled
2. 弥勒世果報(みるくゆがふ) - undercooled : instrumental
楽曲解説
同曲は、アルバム『CHASM』(2004)の冒頭曲「undercooled」を沖縄の民謡グループのうないぐみが新しい詞をつけて坂本龍一とのコラボレーションを行ったチャリティ・シングルの曲。2015年発売。間奏パートではUAも参加している。
9
Merry Christmas Mr. Lawrence
純粋。

純粋さを表すなら音楽は最も容易な表現法かもしれません。それだけに何も隠せない。
雪が積もりゆく様を、目で見ること以上に感じさせる奇跡。

坂本さんの演奏に、奄美の言葉をのせて好きに歌わせていただいたことがありますが、地球人として最高の意義を感じました!
RZCM-59189
THREE
坂本龍一
1. Happy End
2. The Last Emperor
3. Bibo no Aozora - instrumental
4. High Heels
5. Seven Samurai - ending theme
6. A Flower is not a Flower
7. Still Life in A
8. Nostalgia
9. Tango - instrumental
10. Merry Christmas Mr. Lawrence
11. Harakiri (Death of a Samurai) endroll - from a Takashi Miike Film ""Ichimei""
12. Tamago 2004
13. Parolibre
楽曲解説
『戦場のメリークリスマス』は1983年に公開された大島渚監督の映画。坂本龍一にとっては初の映画音楽の仕事になった。この映画音楽では英国アカデミー音楽賞を受賞するなど内外で高い評価を得た。なかでもテーマ曲はいまに至るも坂本龍一のトレードマークのような代表曲になり、自身のセルフ・カヴァーも含めて多くのアーティストによって世界中で演奏されている。2012年のアルバム『THREE』ではピアノ・トリオ形式で演奏されている。
10
Aqua
若い頃の涙と今の涙は質が違う。選んだり、あきらめたり、たとえ間違えていたことに気がついたとしても、それはピュアなハートがそうさせたことを知っていれば、それでいい。水がしなやかに形状を変えるように童心を失わず生きていたい。
RZCM-86314(CD)
RZJM-86312(2LP)
Playing the Piano 12122020
坂本龍一
1. Andata
2. Bibo no Aozora
3. Aqua
4. Aubade 2020
5. Aoneko no Torso
6. Mizu no Naka no Bagatelle
7. Before Long
8. Perspective
9. Energy Flow
10. The Sheltering Sky
11. The Last Emperor
12.The Seed And The Sower
13. Merry Christmas Mr. Lawrence
14. MUJI2020
15. Improvisation - 20201212
楽曲解説
1999年に発表されたピアノ作品主体のアルバム『BTTB』に収録された1曲。もともとはプロデュースした坂本美雨のアルバム『DAWN PINK』(1999)に収録のヴォーカル曲「in aquascape」のために作曲したものを『BTTB』でインストゥルメンタル版としてリメイクした。発表以来、自身のコンサートで頻繁に演奏されており、本編最後やアンコールの最後で演奏されることが多い。最新のライヴ・ヴァージョンは『Playing The Piano 12122020』(2021)での2020年12月演奏のもの。また同年4月のライヴ・ヴァージョンはコールドカット&ミックスマスター・モリスによるミックスCD『@0』の冒頭トラックにもなっている。
UA(ウーア)
歌手
UAとは、スワヒリ語で「花」という意味を持つ言葉。大阪出身。
1995年「HORIZON」でデビュー。「情熱」「悲しみジョニー」「ミルクティー」などのヒット曲を持ち、映画出演、NHK Eテレにて歌のお姉さんを務めたりと活動は多岐に渡る。2020年6月、デビュー25年を迎えた。
2021年、20年ぶりにAJICO再始動。
また、2005年より田舎で農的暮らしを実践中。4人の母親で、現在はカナダに居住。
2022年5月、待望のEP「Are U Romantic?」を6年振りにリリースした。

●FM京都α-station「FLAG RADIO」レギュラー担当。
奇数月毎週金曜日21:00~22:00 ON AIR中。
●朝日新聞デジタル&w コラム「暮らしの音」連載中。
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