私が好きな坂本龍一10選
第16回
池田亮司
アーティスト/作曲家
坂本さん、古希おめでとうございます。今後のご活躍も期待しております。

90年代半ばから、いろんな場所でご一緒させていただきましたが、いま思い返すと音楽の話をした記憶が全くありません...!
厖大な知識や好奇心に裏付けされた博識な話題、その訥々とした穏やかな語り口。僕にはそれがいつも音楽のように響いて、殊更心地が良いのです。
今回、過去のさまざまな楽曲を聴き直してみて感じたのは、戦後の日本で、これほどまでに幅広く芸術(音楽・映画・美術)や社会活動(アクティヴィズム・チャリティー・教育)を国際的に寄与してきた音楽家はいたのかと。
「世界のサカモト」と呼ばれるのを嫌がらないでくださいね。

10曲のフェイバリットを選ぶというのはほぼ不可能なので、現時点での個人的な気分を反映したプレイリストを挙げさせてもらいます。
近年のご活動にますます「余白の美学」を感じるので、それを中心に構成しました。
視覚偏重のこのご時世、坂本さんの静謐な引き算の音楽にじっくり身を浸すと、逆説的ですが豊かな映画的情景が浮かんでくることと思います。

池田亮司
1
August 9th 11:02 AM
RZCM-59990
TANX-20018
オリジナル・サウンドトラック「母と暮せば」
坂本龍一
1. 母と暮せばタイトル
2. B29
3. 8月9日午前11:02
4. お墓にて
5. 幽霊
6. 「あんたは元気って」
7. 浩二の部屋
8. 音盤
9. 雨だれ
10. 雨上り
11. 町子
12. 諦める
13. 「嫌だ」
14. 戦死
15. 兄の亡霊
16. 人為的な悲劇
17. 憲兵
18. 浩二のアリア
19. 田園
20. 回想
21. 町子のアリア
22. 伸子
23. 川上先生
24. 抱擁
25. 葬送
26. 母と暮せば - 鎮魂歌より
27. 母と暮せば - pf
28. 母と暮せばタイトル - w.pf
楽曲解説
2015年の映画『母と暮せば』(山田洋次監督)のサウンドトラック・アルバムに収録。曲名の8月9日11時2分は長崎に原子爆弾が投下された日時(1945年)。映画の物語の中で重要な場面でもあり、曲中では原爆を搭載したB29爆撃機のプロペラ音を想起させる不吉なサウンドが聴こえる。
2
1919
FLCG-3130
1996
坂本龍一
1. ゴリラがバナナをくれる日
2. Rain
3. 美貌の青空
4. The Last Emperor
5. 1919
6. Merry Christmas Mr. Lawrence
7. M.A.Y. in the Backyard
8. The Sheltering Sky
9. A Tribute to N.J.P.
10. High Heels (Main Theme)
11. 青猫のトルソ
12. The Wuthering Heights
13. Parolibre
14. Acceptance (End Credit) -Little Buddha-
15. Before Long
16. Bring them home
楽曲解説
1996年に発表されたピアノ・トリオ編成でのアルバム『1996』の収録曲。ヴァイオリンはエヴァートン・ネルソン。チェロはジャケス・モレレンバウム。アルバム中唯一の新曲で、本人も出演する三菱電機の携帯電話「ディーガ」のCMにも使用された。1919年に行われたレーニンの演説を曲に重ねており、曲名もそれに由来する。ライヴ・ヴァージョンは1997年の演奏がコンピレーション・アルバム『the very best of gut years 1994-1997』(1998)、ボックス・セット『Complete gut BOX』(2012)、2000年の演奏がライヴ・アルバム『IN THE LOBBY AT G.E.H. IN LONDON』(2001)に収録されている。
3
walker
RZCM-86314(CD)
RZJM-86312(2LP)
async
坂本龍一
1. andata
2. disintegration
3. solari
4. ZURE
5. walker
6. stakra
7. ubi
8. fullmoon
9. async
10. tri
11. Life, Life
12. honj
13. ff
14. garden
楽曲解説
2017年のアルバム『async』収録曲。静かな響きの中に、ニューヨーク郊外の森を歩く坂本龍一自身の足音が重ねられている。そのサウンドの収録の模様は映画『Ryuichi Sakamoto: CODA』(2017年:スティーヴン・ノムラ・シブル監督)で観ることができる。
4
Moscow
RZCM-59752〜3
Year Book 2005-2014
坂本龍一
Disc1
1. Cantus Omnibus Unus
2. Moscow
3. Sonic Mandala
4. Nokiartek-pf01
5. Nokiartek-pf10
6. Visionaire
Disc2
1. 2099
2. Ghosts
3. Kewpie3-b
4. Ropa
5. Bambooshoots
6. FM40 ラジオデイズ
7. Chorale|Look For Me Here
8. Schola TV Opening
9. 音羽
10. PEACE
11. Dharma—Theme
12. Dharma—Meditation
13. Dharma—Contemplation
14. Utility Pole in the Moonlight
15. Astronaut Anthem
16. AUDI 2011
17. QMSMAS (2015)
18. Blu
19. Roly-poly 1 | ダンゴムシの誕生
20. Roly-poly 2 | ダンゴムシの脱皮
21. Roly-poly 3 | 死んだダンゴムシ
22. Roly-poly 4 | 雨の中で育つ
23. Roly-poly 5 | 命の循環
24. Whitescape#2
25. Music for Fashion Museum(配信のみ)
楽曲解説
2015年にリリースされたコンピレーション・アルバム『Year Book 2005-2014』に収録されている楽曲。2006年にベルリン在住の映像作家マイ・ホフスタッド・グネスの同名映像作品のために制作された一曲。
5
sunset
MHCL-30130
COMICA
坂本龍一
1. dawn
2. day
3. sunset
4. night
5. d2
6. radical fashion
楽曲解説
2002年リリースのアルバム『COMICA』収録曲。このアルバム中の「dawn」「day」「sunset」「night」は前年に開館した日本科学未来館の館内に終日流れる音楽という依頼で制作されたアンビエント・ミュージックで、「sunset」はタイトルどおり夕方に流された。
6
Serenity
WPC6-10211
ELEPHANTISM
坂本龍一
1. Elephantism Theme
2. Embassy
3. Elephantism 2
4. Elmolo Dance
5. Great Africa
6. Serenity
7. Masai Dance
8. Mpata
9. Elephant Dance
10. Elephantism 9
11. MOSARETU Women
12. Masai Children's Songs
楽曲解説
2002年にリリースされたアルバム『ELEPHANTISM』の収録曲。同年に訪れたアフリカ、ケニアでの模様を記録したドキュメンタリー映像のサウンドトラックの1曲。ピアノを主体に、現地でフィールド・レコーディングした音響などで構成されている。
7
aware
RZCM-45525
cendre
fennesz+sakamoto
1. oto
2. aware
3. haru
4. trace
5. kuni
6. mono
7. kokoro
8. cendre
9. amorph
10. glow
11. abyss
楽曲解説
2007年発売のオーストリア人アーティスト、クリスチャン・フェネスとのコラボレーション・アルバム『cendre』に収録された楽曲。坂本龍一が弾くピアノとフェネスの電子音、ギターで構成された作品になっている。
8
BERLIN
N-026
INSEN
1. AURORA
2. MORNING
3. LOGIC MOON
4. MOON
5. BERLIN
6. IANO
7. AVAOL
楽曲解説
2005年にリリースされたドイツ人アーティスト、アルヴァ・ノトとのコラボレーション・アルバム『Insen』に収録された1曲。坂本龍一が弾くピアノとアルヴァ・ノトによる電子音、グリッチ・ノイズ、ビートが加わって構成された楽曲。アルバム『Insen』は日本未発売で、CDも入手が難しくなっていたが、2022年6月にボーナス・トラック収録のリマスターCD、LPが発売された。
9
ice
フルアートワーク盤:RZCM-46128
パッケージレス盤:RZCM-46129
out of noise
坂本龍一
1. hibari
2. hwit
3. still life
4. in the red
5. tama
6. nostalgia
7. firewater
8. disko
9. ice
10. glacier
11. to stanford
12. composition 0919
楽曲解説
2009年のアルバム『out of noise』収録曲。2008年9月26日から10月6日かけて行われた気候変動を危惧する科学者やアーティストが北極圏を船で訪問するプロジェクトである“ケープ・フェアウェル”に参加し、大きな影響を受けたことから生まれた三曲〜三部作の二番目の曲。9月29日にはディスコ島が位置するディスコ湾で水中の音をレコーディングして本曲に使用した。その際に巨大な鯨がボートに接近して命の危険を覚えたと述懐している。ギターは小山田圭吾。
10
aqua
WPCL-12924
BTTB -20th Anniversary Edition-
坂本龍一
1. opus
2. sonatine
3. intermezzo
4. lorenz and watson
5. choral no.1
6. choral no.2
7. do bacteria sleep?
8. bachata
9. chanson
10. distant echo
11. prelude
12. sonata
13. uetax
14. aqua
15. energy flow
16. snake eyes
17. tong poo
18. reversing
楽曲解説
1999年に発表されたピアノ作品主体のアルバム『BTTB』に収録された1曲。もともとはプロデュースした坂本美雨のアルバム『DAWN PINK』(1999)に収録のヴォーカル曲「in aquascape」のために作曲したものを『BTTB』でインストゥルメンタル版としてリメイクした。発表以来、自身のコンサートで頻繁に演奏されており、本編最後やアンコールの最後で演奏されることが多い。最新のライヴ・ヴァージョンは『Playing The Piano 12122020』(2021)での2020年12月演奏のもの。また同年4月のライヴ・ヴァージョンはコールドカット&ミックスマスター・モリスによるミックスCD『@0』の冒頭トラックにもなっている。
池田亮司
アーティスト/作曲家
SHARE
to top