music BATON 第70走者:カジヒデキ wrote:
音楽の遍歴を書き出すと切りがありませんが、YMOさんから受けたカルチャー・ショックは大きかったと思います。完全に嗜好はNEWWAVE、そしてPUNKに移行して行くという感じです。PUNKは最初ピストルズやスターリンなどから入り、すぐにハードコア、そしてポジティブ・パンク(ゴシック)一色の高校時代でした。日本のバンドだとソドムとあぶらだこ、サディ・サッズらのライブにはほとんど通っていました。高1の時にPUNK、そしてムーン・ライダースという視点からゴダールやヌーベル・ヴァーグの映画にはまり、マニアックな映画ばかり見ていました。寺山修司さんも大好きでした。バースディ・パーティーやバウハウスが好きだった10代の終わりに、突然もうそういう事が嫌になり、スミスやアズテック・カメラやモノクローム・セットやパステルズ等のUKギター・ポップやインディー・ポップ、アノラックが大好きになり、ロリポップ・ソニックとの衝撃的な出会いを迎えます。そこからもかなり様々な音楽を聴きましたが、結局ポスト・パンク以降のオルタナティブなロックやインディーが一番好きなのです。なので、今もそういう今の音楽を中心に聴いています。時代の音が好きなのです。00年代はほとんど古い物に興味が行かず、特にUKのインディーばかり。最近はUSも面白いですし、スウェーデンは90年以降ずっとフェイバリットです。でもこの1~2年は再び、古い物も聴き直すようになりました。この古い物というのは、パンク以前の音楽の事です。
一貫して言えるのは、ロックもポップもカルチャーもフットボールもUKのものが好きですね。
カジヒデキ Hideki Kaji
97年1月のデビュー・アルバム"ミニ・スカート"をリリース。楽曲提供、プロデュースや継続的に数多くのCMソングを手掛ける。2008年7月からス タートしたクラブ・イベント"BLUE BOYS CLUB"の主宰、大ヒット映画「デトロイト・メタル・シティ」への楽曲提供、シティボーイズの舞台「そこで黄金のキッス」音楽担当、フェスへ多数出演な どなど精力的に活動中。最新作は2009年10月21日リリース、12枚目のオリジナル・アルバム"STRAWBERRIES ANDCREAM"。7月には "SEMI-TROPICAL GIRL TOUR"を東京、大阪で行います。
詳しくはhidekikaji.netまで。
This CHOICE!
2010/07/07 UPDATE
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The Glasgow School / ORANGE JUICE
オレンジ・ジュースを好きになったのはリアル・タイムではなく、80年代中期にUKで起こったC86のムーブメントや、87年11月にフリッパーズの前身であるロリポップ・ソニックと出会って急激にインディー・ポップやギター・ポップのバンドにのめり込み、すでに当時手に入りにくかったイルカのジャケットの1stを手に入れてからです。そのアルバムを選んでも良かったのですが、同じスコットランドのフランツ・フェルディナンドが04年に大ブレイクし、彼らのフェイヴァリットとして05年に企画リリースされたこのアルバムは、80年代当時はもちろん、今でも入手困難な彼らのPostcard時代のシングルと、一度はお蔵入りになった幻のデビュー・アルバム等がコンパイルされた最強の内容で、スタイルばかり追い始めたパンク・バンドが画一的になり全然パンクじゃなくなった79~80年頃に、バズコックスとシックのような当時パンクとは相反するディスコ・サウンドを融合させ新しいスタイルのパンク=ポスト・パンクを生み出すという、革新的で崇高なパンク・スピリットがギッシリ詰まった、衝撃的な程キラキラとしたカラフルなポップ・ソング(ディスコ・パンク)集で最高です!ブックレットも秀逸で、フリンジ・ヘアーにセーラーを着たエドウィンやジェームス・カークはいつまでも僕のアイドルです。
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Making Dens / MYSTERY JETS
05年~07年頃にかけてのロンドンの音楽シーンは、目を見張る物がありました。リバティーンズらに触発された10代後半から20歳前後のヤング達が、恐ろしい程にフレッシュなクリエイティヴィティを発揮し、物凄くエネルギッシュ且つスタイリッシュなモーメントが生まれ、躍動感に満ちた名盤が沢山生まれました!その中心に居たのがロンドンの南西部、テムズ川に浮かぶ島"ELL PIE ISLAND"出身のミステリー・ジェッツでした。当時まだ19,20の4人の青年達に混ざり、リード・ボーカルのブレインのお父さんが参加している事からDad Rockとか、プログレの影響等も見られる事からプロッグとか呼ばれもしましたが、僕が初めて彼らのライブを観た06年1月のCamdenはBarflyの衝撃は今も忘れられず、それはかつてロリポップ・ソニックを初めて観た時の衝撃というか、初期の12弦ギターを激しくストロークしていた頃のアズテック・カメラを彷彿させる甘酸っぱいメロディーと爽やかな高揚感、そしてテンションの高さと激しさ!と同じ衝撃で、もう完璧だったんです。20年位前の記憶が蘇って来たような!アルバムも様々なアイディアに溢れていて素晴らしいですし、80'sフレーバーたっぷりの2ndもまた凄く良いんです。丁度リリースになる3rdも超期待大です!ちなみにラリキン・ラブの"Freedom Spark"もこの時期の偉大な作品です。
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Peaceful, The World Lays Me Down / NOAH AND THE WHALE
07年位になるとロンドン・シーンは、ミステリー・ジェッツらの流れを受けつつ、よりフォーキーなバンドやソロ・アーティストが登場しNu Folkと呼ばれるシーンが生まれます。それがまた凄く美しかったのです!ノアはその中心にいたバンドで、僕が彼らのライブを観ていた頃まではローラ・マーリング嬢がコーラスとして参加していて、とっても可憐な魅力を振りまいていました。当時ヴォーカル&ギターのチャーリーとローラは付き合っていたんですね。08年8月にリリースされたこのデビュー作にローラは全曲参加していますが、それより半年早くソロとしてのデビュー作をリリースしたローラはその時点でライブ・サポート・メンバーからも外れ、やがて2人は悲しい別れを。という事で、このアルバムがいかにキラキラとした幸福な色で包まれた内容だという事がお分かりでしょう!"5 YearsTime"や"Shape Of My Heart"のようなみんなで大合唱出来るような名曲あり。そして僕的に好きなのは、このシーンに居るミュージシャンはアメリカのフォーキーなアーティスト(Fleet FoxesとかBrightEyesとか)の影響等もあるようなのですが、イギリス人がやると土臭くなく、UKトラッドの香りが自ずと出てしまうところが素敵なんですよね。もうこんな奇跡は起こらないのでは?と想わせる、キュンとする美しい作品です。2ndはとても暗いんです、、、。
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I Told You I Was Freaky / FLIGHT OF THE CONCHORDS
最高にスタイリッシュでモッズで、インディー・ロックなブリティッシュ・コメディー"The Mighty Boosh"の1stシリーズがBBCでオンエアされたのは04年の事。その後現在までに3rdシリーズまで作られています。ヴィンスとハワードのコンビはお笑いも然る事ながら音楽的な才能も長けていて、番組内で数々のグレイトなポップ・チューンが作られていますが、このFOTCも彼らと同じくずば抜けた音楽の才能を持つニュージーランド出身のコメディー・デュオ。07年にUSで1stシリーズがオンエアされ、その圧倒的な人気を受け09年初めに2ndシリーズがオンエア。このアルバムは2ndシリーズの方の作品集ですが、ディスコにエレクトロ、ポルカにインディー・ポップ、S&G風からボブ・ ディラン風にラテン。とにかくそのコメディー・シーンの雰囲気に合わせて楽曲と歌詞が作られているので、様々な音楽が奇想天外に飛び出す訳ですが、それは本当に面白いし素晴らしいし、アレンジを含め曲として物凄く良く出来ているんです。シャレ心がある。実際昨年のUS&UKツアーは何処も即完売の大入り。そのライブの模様をYou Tubeで見た事がありますが、演奏も凄く上手だし、それに最高に面白いクレイジーな歌詞が乗っているんだから最強ですよね。あぁ音もそうですが、DVDも是非見て欲しい!アナログ盤にはポスターも付いていて、そういうセンスも最高です。
= アナログ盤が購入できるサイトにリンクします。オークションかも?
#071は「TA-1(Riddim Saunter)」さんです。