- 坂本:アメリカのパンクは、ニューヨーク側とロサンゼルス側で全然イメージが違うよね。
- 令子:違うね。でも、パンクの発祥はロンドンと思われがちだけど、アメリカっていうの。あと、ベルベットとかミッドナイトとかカウボーイは、たまらなくグッとくる。
- 坂本:「欲望」とかは?
- 令子:あ〜もちろん好き!
- 坂本:同じくらいの時代だからね。あの辺りは、ミニスカートで……ジェーン・バーキンの時代だね。
- 令子:だから、ウォーホールの映画でもスゴイ好きなのは、やっぱりコレなんだよね。小学校4年の頃、観に行ったからね。ウォーホールの「悪魔のはらわた」とかね。
- 坂本:本当?
- 令子:意味わかんなかったけど。
- 坂本:僕もウォーホールは大ファンだからね。ぼくのアイドル。あのファクトリーな感じ、格好いいよね。
- 令子:「ウルトラ・ヴァイオレット」とかすごいし、今インタビューに出てきても、今だに格好いいよね。時代にズレてきて、ダサくなっちゃう人っているじゃない?ちゃんとそのままの延長でオシャレな人いないから、すごいと思う。
- 坂本:だってウォーホール、今見ても格好いいもんね。
- 令子:きっと今生きてても格好いいのかな?
- 坂本:いいおじいさんになってるのかな?そういう人はあまりいないよね。
- 令子:今の曲をがんばって聴いたりはしないな。
- 坂本:僕も全然知らない。
- 令子:でも、面白かったりもするんだよね。ディスティニー・チャイルドって知らなかったんだけど、DJやってて洒落でやってみたり。最近は、80’sのニューウェーブの感じのヤツをかける。
- 坂本:ヘブン・セブンティーンとか?ヒューマンリングとか?
- 令子:そうそう。
- 坂本:あの辺はいいよね。
- 令子:その辺からかけてる。フランス人でYMOのすごいマニアックなヤツがいて、私が毎回かけたら衝撃的だったらしく。
- 坂本:バロンで聴いて?
- 令子:バロンで、私がかけるのを聴いて。すごいオタクなくせに知らなくて。でも次には、YMOのレコードバージョン持ってて、私が選曲する日なのに、勝手にそいつが二回くらいかけるの。でも、それくらいはまっちゃったみたいで。とりあえず一発目にかけたりすると、ヨーロッパの人好きみたいで、すごい盛り上がって。だって石川セリナでも踊るんだよ?ラブラブでチークとか踊っちゃって。あーやっぱ関係ないなって。
- 坂本:中村あきとかまではいかないけど?
- 令子:そこまで理解できないかな?でも、ピンクレディとかは意外と好き。おもしろいんだと思う。あと、この間かけてみんなウケてたのが、ジューシーフルーツ。ポップじゃん?けっこうヨーロッパの人詳しかったりして。
- 坂本:西洋人から見ると、日本人の女性って子どもに見えて、そういうのに近い。子どもがやっているみたいな、そういうのが固定観念としてあるよね。ああいうポップさはお人形ちゃんがやっているみたいな。
- 令子:そう、かわいいみたいな。かといって、前はヨーロッパの人が多かったんだけど、今は、ニューヨークの人が増えてきて、ニューヨークのクロエ・セヴェニー、ハーモニー・コリンのグループの子たちがいるんだけど、その子たちは石井聰亙が好きで。「バーストシティ、ソウゴイシイ、グレイト!」みたいな。えーでも、何かあっち系の子が「爆裂都市」を好きかな?と思うと意外で。あっちの人見たら、こっけいにみえないのかな?
- 坂本:ボックス・セット買ったよ。
- 令子:うそ〜、私も『爆裂』は持ってるけど。ボックスももらった、お兄ちゃんに。
- 坂本:ぜったいウケると思うよ。
- 令子:あれって滑稽に見えないのかな、外国人から観たら。
- 坂本:「キル・ビル」とかの影響が大きいのかな?あれで開いた感じがあるね。漫画とか。「キル・ビル」的な漫画の見方、漫画っぽい日本とかね。
- 令子:あとソフィアの娘、ソフィア・コッポラ。「ロスト・トランスレーション」、あれ、好き嫌い外国人も多いけど。でも、おもしろいところだと思うもん。109とか。本当に海外行くと東京は面白いなって思う。
- 坂本:日本のタクシーっておもしろいよ。とくに形が。外人の目で見ると、なんてヘンなって思うらしい。上についてるのとか、色とか。
- 令子:外人写真撮るもんね。それってアジアな感じかな?
- 坂本:ちょっとアジアっぽいんだろうけど、やっぱり日本独特かな?
- 令子:しかも、別に発展途上じゃないしね。
- 坂本:でも、混沌としてるよね。全然整備されてない感じ。グチャグチャですごい面白いよね。
- 令子:きっとゴールデン街とかも、おもしろいんだろうね。
- 坂本:そうだね。みんな好きだね。
- 令子:ちっこいのがいいのかな?
- 坂本:日本を感じるんだろうね。絵に描いたような、今の日本。京都の料亭みたいなのは、昔からある別の日本だとしてね。
インタビュー:菅付雅信
対談vol2へつづく [2008/12/下旬 公開予定]