ASA-CHANG&巡礼
影の無いヒト
巡礼のニーム劇場公演は、イントロにU-zhaanのタブラ・ソロをたっぷりと挟み込んだ「つぎねぷと言ってみた」、そしてラストの「花」でクライマックスを迎えた。日本でも巡礼の代表曲とされている「花」は、実はヨーロッパでも早くから注目されていた。イギリス人DJジャイルズ・ピーターソンが彼の看板ラジオ番組「Worldwide」で紹介し、2002年にはイギリスのLEAFレーベルから「花」をフィーチャーした編集アルバム「JUNRAY SONG CHANG」がリリースされた。フランスでは2003年、同国No.1テクノDJ、ロラン・ガルニエがミックスCD『Excess Luggage』に収録している。以来、ASA-CHANG&巡礼の名前は彼の地の音楽好きの間で静かに広まっていたようで、今回は待ちに待ったフランス初公演だったのだ。
アンコールはフランスを代表する前衛女性歌手ブリジット・フォンテーヌが1969年に放ったカルト・ヒット曲「ラジオのように」のカヴァー。巡礼は1st.アルバム『タブラマグマボンゴ』でこの曲を取り上げている。今回、この曲がフランス人観客の前で演奏されたのを聴いて、ASA-CHANG独特の美意識はフランス人と親和性が高いのではないかと初めて気づいた。ラッパやタイコやオモチャ楽器への偏愛、チンドンやジンタ、ミュゼットのようなノスタルジックな音楽への憧憬、どこか自虐的なユーモア感覚、純文学的な歌詞などに代表される彼の美意識は、例えば、映画『アメリ』の音楽を作ったヤン・ティルセンやオモチャ楽器を使うベテラン作曲家パスカル・コムラード、そしてブリジット・フォンテーヌ、更に彼女を発掘したピエール・バルーなど、フランスのエキセントリックな音楽家と共通しているのでは? 後にこのことをASA-CHANGに訊くと「ええ、僕の母親はフランス人ですから」と軽い冗談を飛ばしつつ、「花」がフランスで紹介されたのは随分前なのに、皆さんが覚えていてくれて、熱心に聴いてくれたのがうれしかったですね。日本のように三ヶ月ごとに音楽の流行が変わるわけでなく、もっと長いタームで音楽を聴いている。フランス人にはそんな感じを受けます」とやんわりとかわされてしまった。
アンコールを含めて1時間20分、公演はスタンディング・オベーションと鳴り止まない拍手の中で終了した。巡礼のライヴは折々に様々な会場で見ていたが、日本を遠く離れたニームの地での初公演は演奏内容、音質、規模、観客の反応、全てにおいてベストと言える公演だった。主催者L'EXとニーム劇場のしっかりした受け入れからはじまり、協力的なスタッフ達、会場の音響や設備、日本の新しい音に興味津々だった観客、そしてASA-CHANGとU-zhaanのコンディション、全ての歯車がカチっとかみ合った結果だろう。
お疲れさま! 打ち上げに美味いモノでも食べに行きましょう!
photo(左上から3・4番目)&text
/サラーム海上
photo(左上から1・2・5番目)
/Kaname Onoyama
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約4年ぶり、commmons移籍第一作目となるアルバムは、結成10周年を迎えた彼らのラジカルなサウンドが大胆に放たれた一枚!
坂本龍一、宮藤官九郎、モデルの太田莉菜、キセル、Talvin Singhら、ASA-CHANG&巡礼と深い各界のアーティストが参加し、色彩豊かな作品となっている。
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- アオイロ劇場ラグランTシャツ(S)
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ASA-CHANG&巡礼
打楽器奏者ASA-CHANG、プログラム担当の浦山秀彦、タブラのU-zhaanで構成。
「声もひとつの楽器」をコンセプトに、言葉を分子レベルまで刻み込み、タブラと語りかける“発明的”な楽曲が特徴的で、聴く者を不思議な空気で包み込む。
過去に小泉今日子やハナレグミを作品に迎えた他、近年ではフランスでライブを行ったり、自主イベント「JUNRAY DANCE CHANG」を成功させるなど、精力的な活動を行っている。