飛行機の窓の下に広がるリオデジャネイロの美しい風景を讃えた、アントニオ・カルロス・ジョビンの60年代の作品。現在、リオのガレオン国際空港の正式名称はアントニオ・カルロス・ジョビン国際空港で、第2ターミナルにこの曲の歌詞を記したモニュメントが飾られている。日本から30時間近い長旅の末にリオに到着したnaomi & goroの胸の高鳴りが伝わる歌と演奏で、ゲスト参加したジャキス・モレレンバウムのチェロの響きも詩情をかきたてる。
naomi & goroの音楽には穏やかな雰囲気のワルツがよく似合う。このワルツは "あなたの魅力" といった意味で、ボサノヴァ黄金時代の若大将、マルコス・ヴァーリが兄のパウロ・セルジオ、従兄弟のピンガヒーリョと共作、64年のセカンド・アルバム『オ・コンポジトール・イ・オ・カントール(シンガー・ソングライター)』で発表した。オリジナルの歌詞はポルトガル語だが、英語の歌詞もあり、アストラッド・ジルベルトらが「ザ・フェイス・アイ・ラヴ」の英題で録音した。尚美さんも英語ヴァージョンを歌っている。
40~50年代に活動したヴォーカル・グループ、ガロートス・ダ・ルアのメンバー、ジョナス・シルヴァの作品で、ホジーニャは女性名ホーザ(Rosa)の愛称。ジョアン・ジルベルトが91年のアルバム『ジョアン』で取りあげるまで、ほとんど知られずにいた曲だ。ちなみに51年、ジョナス・シルヴァに代わってガロートス・ダ・ルアに参加した歌手が、当時は無名のジョアンだった。
カエターノ・ヴェローゾが20代前半で作詞作曲し、ガル・コスタとのツイン・リーダーによるファースト・アルバム『ドミンゴ』(67年)を通じて発表した、サウダージな詩情あふれる逸品。ジョビンがこの曲を激賞したというエピドードもあり、ジョアン・ジルベルトも『ジョアン 声とギター』(2000年)で録音した。
ゴローさんが作詞作曲、尚美さんがポルトガル語の翻訳を行ない、2004年のアルバム『BON BON』で録音したオリジナル曲。今回の再録にあたり、エンジニアのドゥーダ・メロの助けも借りて歌詞をリニューアルした。日本人が作ったボサノヴァのスタンダード・ナンバーになり得る名曲だと思う。
ジョアン・ジルベルトが2006年の来日公演で歌い、「あの可愛い曲は何?」と話題になったマルシャ(サンバよりも歴史の古いカーニヴァルの音楽)。「アクァレーラ・ド・ブラジル(ブラジルの水彩画)」など数多くの名曲を生んだアリ・バホーゾの作品だが、42年にクアトロ・アゼス・イ・ウン・クリンガというヴォーカル・グループが録音したぐらいで、ジョアン自身も録音していない激レアな曲だ。愛らしい曲調は尚美さんのキャラクターにピッタリ。
ボサノヴァの黄金時代を代表するピアノ・トリオ、タンバ・トリオのルイス・エサが作曲したイントスゥルメンタル・ナンバーで、初録音はタンバ4名義で発表したアルバム『二人と海』(67年)。この、イタマール・アシエレのピアノをフィーチャーした演奏からは、今回の録音のために集まったミュージシャンたちが短期間のうちにバンドと呼べる段階までアンサンブルを確立したことが聴き取れる。
作者アントニオ・カルロス・ジョビンが「ルック・トゥ・ザ・スカイ」の英題で録音したインストゥルメンタルのヴァージョン(67年のアルバム『波』に収録)が名高い。ヴォーカル・ヴァージョンの録音は意外に少ないが、星が瞬く夜空の情景と愛の心を描いた歌詞も美しく、これから再評価される曲になるような予感がある。
ジョビンがUSA映画『冒険者』(70年)のサウンドトラック用に作曲、当時は「チルドレンズ・ゲーム」という曲名だった。その後、薔薇の園に降る雨の情景を描いた歌詞をつけ、この曲名になった。『エリス&トム』(74年)でエリス・レジーナがジョビンのピアノをバックに歌った他、大勢の歌手が取りあげている。曲想にはジョビンがドビュッシーの音楽から受けた影響がうかがえる。
意味は "悲しみ"。ジョビンが8曲目と共に『波』でインストゥルメンタル曲として録音した。ヴォーカル・ヴァージョンはエリス・レジーナ(9曲目と同じアルバム)、ジョアン・ジルベルト(77年のアルバム『アモローゾ』)が代表的。ここまでの3曲には、ジョビンがブラジルでのボサノヴァ全盛期が終わった後に作った曲という共通点がある。
70歳を越えた今も元気に活躍しているボサノヴァの先駆者、ジョアン・ドナートが50年代の中頃に作曲。その後、ジョアン・ジルベルトが作詞したが彼は録音しておらず、アライヂ・コスタ(59年)から小野リサまで、女性シンガーが歌うことが多い曲だ。ここではnaomi & goroだけで録音、2人が過ごしたリオでの日々が、心地よい余韻と共に幕を閉じる。
text/中原 仁(Jin Nakahara)
坂本龍一とのユニットでも知られるチェリスト、ジャキス・モレレンバウムが参加!
このブラジルでナオミ&ゴローのプロジェクトに参加することができて嬉しく思っています。遠く離れた国のそれぞれの文化が寄り添い、音楽を通じて兄弟のように一緒になれるということは、とても素敵なことだと思います。
坂本龍一とモレレンバウム夫妻によるユニット“MORELEMBAUM2/SAKAMOTO”のアイテムも販売中!
MORELENBAUM2/SAKAMOTO
『CASA』
MORELENBAUM2/SAKAMOTO
『A DAY in
new york』
naomi & goro
『Bossa Nova Songbook 2』
ボサノヴァファンに、そしてすべての音楽ファン必携の、ボサノヴァ・カバー・アルバム第2弾。
naomi&goroにとって初のリオデジャネイロ録音が実現した本作。坂本龍一とのユニットでも知られるジャキス・モレレンバウムも1曲ゲスト参加するなど、全編にわたり南米のゆったりとした空気が流れた作品に仕上がっている。
naomi & goro
『Bossa Nova Songbook 1』
シリーズ第一作目も注目
『Bossa Nova Songbook 2』
リリース記念!
「コルコバードの丘スニーカー」ピンバッチ
伊藤ゴロー自らデザインを手がけたピンバッチです。
今回のアルバムはブラジルのリオデジャネイロで、レコーディングからミックス、マスタリングまでやってきました。
リオにいる間は毎日コルコバードの丘がみえました。コルコバードにはとても巨大なキリスト像があって、リオの街のどこからでも見る事が出来ます。僕は時間がなくて実際に行けませんでしたが、尚美ちゃんは登ってきました。その時に、尚美ちゃんがコルコバードから撮った写真が『Bossa Nova Songbook 2』の 裏ジャケットに使われています。
リリース記念にピンバッチを作るということで、男の人でもつけられるようにと思ってスニーカーにコルコバードを描いてみました。
昨年、ボサノヴァ生誕50周年を記念したジョアン・ジルベルト来日公演パンフレットとして制作されながら、公演中止によりお蔵入りとなっていた幻のアイテムが登場!
土屋賢二、清水ミチコ、大貫妙子ら、ジョアンをこよなく愛する各界著名人からの寄稿文で構成された、ジョアンファン必携の一冊です。