HOME > commmons: schola > 【番外編】坂本龍一が語る commmons: scholaのこれまで、そしてこれから。
2010/09/17 UPDATE
エイベックスグループとともに坂本龍一をはじめとするアーティストたちが設立したプロジェクト「commmons(コモンズ) 」(※1) 。そこで全30巻を予定している音楽の百科事典が「commmons: schola」シリーズです。
各巻ごとにひとつのテーマ(バッハ(※2) 、ジャズ(※3) 、ドラム&ベース(※4) など)が設定され、そのテーマの魅力を体験できる楽曲を収録したCDに、充実の内容を誇る120ページのブックレットがセットになって¥8,500(税別)。この書籍の責任編集者は、坂本龍一が信頼を寄せる編集者/クリエイティブディレクターの後藤繁雄(※5) 。アートディレクション&デザインは『CUT』『H』『ロッキング・オン・ジャパン』などのアートディレクションで知られる中島英樹(※6) が手掛けているのも魅力です。コレクターズアイテムとして大人が集めて再び音楽を学ぶこともできますし、学校や家庭でのお子様の情操教育に役立てることもできるでしょう。なぜなら、これは世界に類を見ない体系化した音楽の学校になっているからです!
そして「commmons: schola」はあらゆるメディアを通して皆さまを音楽の世界に誘います。 たとえば「commmonsart」内の「坂本龍一名誉教授によるweb講義 」(※7) 。坂本龍一が白衣にカツラで“坂本龍一名誉教授”に扮し、CDや書籍をさらに別の視点から掘り下げたユーモラスな講義を披露してくれます。
また坂本龍一・初の冠番組となった『スコラ/坂本龍一 音楽の学校 』(※8) はNHK教育テレビの人気番組として2010年4月~6月まで放映(同8月にも集中再放送)。坂本龍一とゲストが対談形式で行う講義で見せた知識と教養、音楽を学ぶ中学高校生との“実技講習”を通して各テーマの歴史や変遷を伝える気さくな姿は音楽ファンの間で大きな話題になりました。
この他、NHK-FMでのラジオ番組や、読売新聞における大きな特集面も組まれ、「commmons: schola」は音楽業界のみならず、世界中の方からの支持を集め続けています。
オノセイゲン(※9) :小沼さんから最初に聞いたのかな~?スコラはいつからでしたっけ?
小沼純一(※10) :そうでしたっけ。ここでね。
門松宏明(※11) (commmons: schola編集):第1巻のJ.S.Bachは、2008年9月発売ですが、すでに07年の後半から、新聞等で教授による情報公開がされていましたね。坂本さんの音楽レーベルcommmonsのスタートは、06年11月6日です。
オノ :横井さんもその頃から?
横井周子(朝日カルチャーセンター(※12) ) :はい。その新聞で読んで、こういうのを公開講座できたらいいなぁ、ということでお話しさせてもらいました。
門松 :膨大な音楽情報が氾濫する現代において、ある種の「ガイド」というか、どんな音楽から聴き始めたらよいかという「きっかけ」が必要とされているだろう、それを作ろう、ということですね。ただ同時に、それは無記名の編纂者による無機質な教示ではなく、坂本さんという(あるいはゲスト選者であれば山下洋輔(※13) さんや、細野晴臣(※14) さん、高橋幸宏(※15)さんといった)一個人を通した、ある意味では独断と偏見に満ちたものであってよい(むしろscholaにおいてはそうあるべき)。そんな側面もあると思います。
(※1) 坂本龍一をはじめとするアーティストとエイベックスが共同で設立した音楽プロジェクト、またそのプロジェクトによってCDをリリースするレコードレーベルである。アーティストやクリエーター、音楽業界、ユーザーの「共有地(commons)」の中に、「音楽(music)」が存在するようにとの願いを込めて、「commons」ではなく、mが3つの「commmons」と名づけられた。
(※2) ヨハン・セバスティアン・バッハ(Johann Sebastian Bach, 1685年3月21日 - 1750年7月28日)は、18世紀に活動したドイツの作曲家である。音楽史上における存在の大きさから、「音楽の父」と称されることもある。ベートーヴェン、ブラームスとともに“ドイツ三大B”と呼ばれる。
commmons: scholaはこのバッハからスタートした。
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(※3) 19世紀末から20世紀初頭にかけてアメリカ南部の都市を中心に発展した音楽形式。その自由な表現形式は黒人音楽家のみならず白人音楽家にも注目され、20世紀半ばには人種の枠を越えた音楽のジャンルとして現代音楽理論をも内包する高度な体系をつくりあげた。その結果、人種、国籍や狭義のジャンルを越えた音楽芸術の現代的様式の一つとなり、様々な方向性に発展を見せる現代の音楽の源流を形作った存在であると考えられている。
commmons: scholaでは山下洋輔が選曲を担当。
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(※4) バンドを始めとするアンサンブルの中で、楽曲の根幹となるリズムやビートを担当する楽器。
commmons: scholaでは細野晴臣と高橋幸宏が選曲を担当。
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(※5) 編集者、クリエイティブディレクター、京都造形芸術大学教授。1954年生まれ、大阪府出身。
代表作に『観光』(細野晴臣+中沢新一)、『TOKYO LOVE』(ナン・ゴールディン+荒木経惟)。坂本龍一とのクリエイティブユニット「code」メンバー、KIRIN PLAZA OSAKAのコミッティメンバーとしても活動した。
(※6) アートディレクター、グラフィック・デザイナー。1961年生まれ、埼玉県出身。ロッキング・オンを経て、1995年に有限会社中島デザイン設立。1999年には坂本龍一、後藤繁雄、空里香とのユニット「code」に参加している。
(※7) commmonsmartの人気コンテンツのひとつ。坂本龍一が自らcommmons: scholaについて、前後編のユニークな講義をしてくれる豪華なコンテンツ。
(※8) 2010年4月から6月にNHK教育テレビで放映された人気番組。commmons: scholaの中から、バッハ、ジャズ、ドラム&ベースを取り上げた
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(※9) 小野誠彦とも。作曲家、録音エンジニア、空間音響コンサルタント。スタイリッシュな環境音楽として、コム・デ・ギャルソンのステージ音楽や、カネボウ等のCM音楽を製作。音の良さ、響きへのこだわりが秀逸であり、現代クラシックの最高峰と考える向きもあれば、アバンギャルドの最終進化系であると評価する者も多い。
(※10) 音楽文化論、早稲田大学文学学術院教授。1959年東京生まれ。98年、第8回出光音楽賞(学術・研究部門)受賞。音楽・文芸批評、翻訳、詩など多分野において創作・執筆活動を行なうほか、コンサートやイヴェントのプロデュースも手がける。
(※11) commmons:schola編集担当。1975年生まれ。2008年に大谷能生との共著『大谷能 生のフランス革命』刊行(以文社)。その後、編集者・後藤繁雄氏の誘いを受け 第1巻『J.S.バッハ』からschola制作に加わる。
(※12) 生涯教育の草分けとして、一流の講師を迎えて教養、芸術、語学、工芸、健康と幅広いジャンルの講座を用意しているカルチャーセンター。
(※13) 日本のジャズピアニスト、作曲家、エッセイスト、作家。1942年東京都生まれ。麻布高校、国立音楽大学作曲科卒業。ひじで鍵盤を鳴らす独自の奏法を交えながら演奏する。
(※14) 日本のベーシスト、音楽プロデューサー、作詞・作曲・編曲家。多摩美術大学美術学部芸術学科客員教授。1947年東京都生まれ。立教大学在学中にベースを始め、数多くのバンドを経た1969年、エイプリル・フールのベーシストとしてメジャーデビュー。その後、大瀧詠一、松本隆、鈴木茂とはっぴいえんどを結成し、日本語ロックの礎を築く。言わずと知れたYellow Magic Orchestraのベーシスト。
(※15) シンガーソングライター、ドラマー、作詞家、作曲家、編曲家、音楽プロデューサー。またファッション・デザイナー、文筆家としての顔も。1952年東京都生まれ。高校在学中からスタジオ・ミュージシャンとして活動。自身のキャリアとしては、「Sadistic Mika Band」や「Yellow Magic Orchestra(Y.M.O.)」のメンバーとして活躍したことで広く知られている。