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commmons:schola(コモンズスコラ)


about commmons: schola

commmons scholaについて

scholaのために

スコラ(schola)とはラテン語で「学校」という意味です。よく「スコラ的(scholastic)」という言葉を耳にしますが、これは「煩瑣で、堅苦しい」という、どちらかというと悪い意味で使われます。しかし、わたしたちがこのCDシリーズをscholaと名付けたからといって、決してスコラ的な「音楽学」や、堅苦しい「音楽鑑賞」を強要しようというわけではありません。むしろそういうものから自由になることを目指しているのです。といって、自分だけの好みの世界に閉じこもるのでもなく、みんながゆるやかに共有できるスタンダード(標準)を作り直すことにより、音楽の歓びを、より広く、より深く共有することができたら素晴らしい。scholaは、学ぶことが楽しみであるような、しかし厳然たる基準をもった、みんなの学校でありたいと思います。

現在、インターネットの普及により、誰もがあらゆる音楽情報に簡単にアクセスできるようになりました。それによって、音楽はいい意味でも悪い意味でも優劣をつけられることなく、並列化されつつあります。旧来の型にはまった音楽観―西洋クラシック音楽を優れたものとし、伝統音楽やポピュラー音楽を劣ったものと見る―が相対化されたことは歓迎すべきことです。実はそのような価値観の見直しは20世紀の最後の四半世紀に起こってきました。
すなわち―、
*クラシック音楽はもっぱら西洋において単線的に発生・進歩したのではなく、それは非西洋文化との接触から生まれ、それ以後もずっと非西洋文化との相互干渉の下にあった
*クラシック音楽は、「ハイ・カルチャー(高級文化)」として純粋培養されてきたわけではなく、社会(社交)的な場面で、したがってまた常に「軽音楽」と混じり合いながら、創造・享受されてきた
*クラシック音楽の歴史は、バッハやベートーヴェンといった「巨匠」だけではなく、19世紀以来「マイナー」な存在として脇に押しやられてきた多種多様な音楽家たちによって織り成されている―等々。

こうした歴史の見直しもあって、今わたしたちは、ありとあらゆる音楽が無差別に並列された混沌の前に立たされることになりました。そのような状況に対してscholaが企てるのは、ほどよい一般性をもった文化の教科書をつくりだすことではなく、圧倒的に突出した音楽を拾いつつ、そこから普遍性をもったスタンダード(標準)をつくりだそうという、きわめて野心的なプロジェクトなのです。このようなスタンダード(標準)の選定は、たんに広くバランスのとれた知識だけによっては不可能でしょう。場合によっては、選者が個人的なこだわりから特殊な音楽を選ぶことがあってもいい。そういう特異性からこそ、普遍性に通ずるスタンダード(標準)は生み出されるのです。文化の規則性からはみ出した例外であるからこそ、いつでもどこでも新しく響く―それこそが本当の「古典(クラシック)」と言うべきではないでしょうか。
 scholaは、退屈な知識の詰まった教科書を捨て、例外的であるがゆえに普遍的であることを目指し、すべての人を見知らぬ音楽との出会いへと誘います。

commmons:schola series

Concept

坂本龍一総合監修による
『音楽の学校』

「音楽全集」、「音楽の百科辞典」として位置づけ、次世代へ世界中の音楽を継承してゆくアーカイブを目指します。音楽資料としてエデュケーショナルな視点を持ち、音楽の成り立ちや歴史的背景を俯瞰、音楽と社会の関わりまでも検証します。また音楽の学校モにふさわしい知る楽しみを享受する教材として、坂本龍一による完全監修のもとcommmons独自のコンセプトに基づきユニークな選者とともにクラッシック16巻+非クラッシック14巻、全30巻で構成するcommmonsらしい個性的なシリーズです。リリースは年間3タイトルとし、2008年9月に発売する第1巻J.S.バッハ(選者:坂本龍一)を予定し、第2巻JAZZ(選者:山下洋輔)を2009年1月に予定、2018年までのむこう10年間に渡り発売を予定しています。

Package

J.S.Bach百科事典や欧米の古典文学全集のような本棚に似合うたたずまいを持つ重厚な質感で、各アルバムに共通したデザインです。ブックレット部分の可読性を重視し、パッケージはハードカバーを使用したDVDトールサイズを採用します。選者による各曲解説,坂本龍一と選者の対談、専門家による音楽史、歴史的背景の考察、音楽年表、アンソロジー、さらに選ばれた楽曲のオリジナル音源(カタログ)を詳細に紹介するカタログに約120ページで構成し、各収録作品を読み解くための音楽資料としての情報価値を持たせるとともに、選者の視点やこだわりを伝える読み物としての価値も付加します。従来型のライナーノーツやブックレットではなく、編集には責任編集者として後藤繁雄を迎え、読み物=「本」としての充実した内容を目指します。